2026年1月30日から開催された、世界最大規模のゲームジャム「Global Game Jam(GGJ) 2026」。
2日目夜に、瀬戸内地域(広島・岡山・香川)の各会場をオンラインで繋ぎ、各会場のオーガナイザー/地域ゲーム制作コミュニティリーダーの皆さんと対話会を行いました。
地方コミュニティの熱量から、AI時代の開発手法、そして「うどん」と「お好み焼き」によるイノベーションまで、たっぷりと語っていただきました。
広ユニ ナカオク
今回は、広島、岡山、香川という瀬戸内エリアの3つのコミュニティを繋いでの合同トークとなります。
この地域はゲーム制作コミュニティ同士の交流が非常に盛んですが、まずはそれぞれの会場の様子や、これまでの経緯についてお話しいただけますか。
まずは山根先生、お願いします。
1. 瀬戸内と札幌、日本のゲームジャムの熱源
広ユニ 山根
はい。私が最初に瀬戸内地方に赴任したのは2014年、岡山理科大学の総合情報学部(当時)でした。それからもう随分と時間が経ちました。
当時は「瀬戸内地方はゲーム制作の空白地帯」「大学単独ではゲームジャムは開催できない」という状況だったので、あちこちに声をかけて人が集め始めたのがきっかけでしたね。
岡ユニ かふう
岡山Unity勉強会でかふうです。岡山県でUnityやAIを使ったゲーム開発コミュニティを運営しています。
okauni.jimdofree.com
岡山Unity勉強会
岡山で活動するUnityユーザーのためのコミュニティ、岡山Unity勉強会の公式サイトです。
岡ユニ かふう
懐かしいです。山根先生が中四国で初めてゲームジャムを開催された時から影響を受けて開催するようになり、もう長くやっています。
広ユニ 山根
それから10年以上が経ち、日本中でゲームジャムが広まりましたが、コロナ禍を経て少し下火になってしまった地域もあります。
そんな中で、いま日本で何度もゲームジャムを開催し、熱量を維持できている「ホットな場所」といえば、北の「札幌」と、ここ「瀬戸内」くらいしかないんじゃないかと思っています。
広ユニ ナカオク
札幌と瀬戸内、ですか。確かにその二拠点の盛り上がりは独特なものがありますね。
広ユニ 山根
ええ。かつては東京や大阪といった大都会で「ゲームジャムやろうぜ!」という大きな勢いがありましたが、今年のGGJは大阪会場がなかったりと、大都市圏では少し落ち着きを見せています。
一方で、日本の地方の中規模会場がすごく頑張っている。これは日本独自のユニークな現象だと感じています。
広ユニ ナカオク
なるほど。大都市主導ではなく、地方が自律的に盛り上がっているのが今の日本の特徴なんですね。
では続いて、岡山の様子はいかがでしょうか? かふうさん。
岡ユニ かふう
今年の岡山会場は、昨年よりも人数が増えて10名ほどが集まっています。今はみんなお風呂に行っちゃって、僕一人なんですけど(笑)。
広ユニ ナカオク
(笑)。
岡山会場は なのです社の休憩スペース で開催されていますよね。
私も先日行きまして、とてもリラックスできる環境なのですよね。
岡ユニ かふう
ありがとうございます。あと、今年は非常に国際色が豊かでして。
愛媛県の新居浜に住んでいるイタリア人の方が、「Global Game Jamに参加したい」と公式サイトを見て、わざわざこの岡山会場を見つけて来てくれたんです。
広ユニ ナカオク
イタリアの方が! それはすごいですね。
岡ユニ かふう
日本語もめちゃくちゃお上手で。そういった新しい出会いがあるのも、GGJならではの面白いところですね。
広ユニ ナカオク
まさにグローバルですね。では、香川の大さんはいかがですか? 香川会場は今回、「合宿」形式でやられていると伺いましたが。
讃岐GameN 渡辺
はい、香川でUnityコミュニティを主催している、讃岐GameNの 渡辺 大 です。
僕らは2018年から活動を始めて、最初は僕一人だったんですが、だんだん学生さんや仲間が増えていきました。
www.sanukigamen.com
讃岐GameN[さぬきげーめん]|てうちゲーム製作所
どのような境遇でも人は創る力に満ち、夢は叶えられる。
讃岐GameN 渡辺
過去にGGJを開催したこともあったんですが、今回は、2026年に向けてどう動くかを決めるような、集中開発合宿という形をとっています。
やっぱりGGJのタイミングって、新年早々に世界中から「みんなでモノづくりしようぜ」という風が吹いてくるのが魅力だと思ってます。
広ユニ ナカオク
「風が吹いてくる」、いい表現ですね。
讃岐GameN 渡辺
その風に乗って、県境や国境を超えて人と人が繋がり、一緒に開発できるというのは、本当に幸せなことだなと感じています。
2. 1年に1回、「地球は丸い」を感じる瞬間
広ユニ ナカオク
皆さんの話を聞いていると、GGJには他のイベントとは違う特別な「空気感」があるように思います。
広ユニ 山根
やっぱり「世界同時多発」であることですね。
広ユニ 山根
今この瞬間も、同じテーマ、同じ条件で開発している人が世界中にいるという感覚が強烈にあります。
Twitchなどで海外会場の実況を見ていると、明らかに我々とは昼夜が逆だったりして、「ああ、地球は丸いんだな」と実感できるんです。
広ユニ ナカオク
わかります。 ハワイ会場がまだ始まってなかったり、逆に時差で先に終わる地域があったりして。
広ユニ 山根
そうそう。かつては南極基地会場があったり、アルゼンチンの世界最南端の都市でやっていたりと、北極圏から最南端まで繋がっている感覚がありました。
今年は南極会場が見当たらないので、そこは少し寂しいですが(笑)。
globalgamejam.org
Vernadsky Research Base (Antarktida)
ベルナツキー基地(南極基地)で行われたグローバルゲームジャム会場
広ユニ 山根
以前、スイスの会場で参加したことがあるという人が岡山会場に来てくれたりして、「みんなゲームジャムの仲間だ」という意識が得られるんです。
これは学内限定のコンテストなんかでは味わえない、GGJならではの魅力ですね。
okayamaunity.doorkeeper.jp
第18回 GDC報告会&GGJ振り返り会【KLab(株) 岡山・4/16(土)】 - 岡山Unity勉強会
| Doorkeeper
広ユニ ナカオク
国境を越えて大国だけでなく、例えばアルゼンチン発の
Godot Engine のようなツールを使って開発することで、世界と繋がっている感覚、連帯感が生まれますよね。
広ユニ 山根
ええ。最近は、自分たちの文化や民話をゲームという形で発信しようという動きが、世界各地、例えば北欧の少数民族の間などで出てきています。
GAMERS ZONE
『Never Alone (Kisima Ingitchuna) 』ゲームが語り継ぐ少数民族の記憶【インディーゲームレビュー 第58回】 | GAMERS ZONE
アラスカの原住民・イヌピアットの伝承をベースとしたアクションゲーム『Never Alone(Kisima Ingitchuna)』は、ゲームという形式を用いた優れたドキュメンタリー作品である。
広ユニ 山根 ドキュメンタリー映画などで誰かに紹介してもらうのではなく、「自分たちを表現する最強のメディア」としてゲームを選んでいる。これはゲーム文化が世界を変えている証拠だと思います。