【特別企画】 恐竜好きが紡いだGGJ&TGSスカラシップと「好きを伝える力」

INTERVIEW
恐竜の様子

ゲームジャムでの苦戦と「多能プランナー」への目覚め

広ユニ ナカオク 広ユニ ナカオク
ここからは「ゲームジャム」での経験についてお聞きします。 沼田さんがゲームジャムとして初参加されたグローバルゲームジャム2025 瀬戸内会場 in 広島では、少し大変なチーム構成だったとか?

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グローバルゲームジャム2025 瀬戸内会場 in 広島

今年も広島でGGJ開催!48時間でデジタル&アナログゲームを一緒に作ろう!

沼田さん 沼田さん
そうなんです(苦笑)。 プランナーとして参加したのですが、チーム構成が「プランナー3人、プログラマー1人」という、かなり偏ったチームになってしまって。
広ユニ ナカオク 広ユニ ナカオク
それは……プログラマーさんの負担がものすごいことになりそうですね。
沼田さん 沼田さん
はい、本当におっしゃる通りで、プログラマーへの負担が大きすぎてしまいました。 その時に痛感したんです。「プランナーだからといって、仕様や企画を考えるだけじゃダメなんだ」と。自分自身も手を動かしてゲームを作れるようにならないと、チーム制作は回らないんだと気づかされました。
広ユニ ナカオク 広ユニ ナカオク
「企画職だから企画だけやればいい」という意識では、現場では通用しないということですね。
広ユニ 山根信二 広ユニ 山根信二
そこは教育現場でも大きな課題ですね。日本の専門学校だと、入学時点で「プログラマー」「プランナー」とコースが分かれているため、どうしても専門分野に特化しがちです。 一方で、海外の大学で学んだ人たちは、基礎的なスキルを積んだ上で専門性を深めるため、いざとなれば「一人二役」ができるんです。
広ユニ ナカオク 広ユニ ナカオク
ああ、なるほど。「僕はプランナーだけど、少しならプログラムなら書けるよ」というような動きができるわけですね。
広ユニ 山根信二 広ユニ 山根信二
そうです。この「基礎的な体力」があるかないかで、ゲームジャムのような突発的なチーム編成での柔軟性が変わってきます。 沼田くんがそこで「職種の不自由さ」を痛感したのは、とても良い学びだったと思いますよ。
沼田さん 沼田さん
本当にそう思います。 それからは、「自分でもゲームを作れるようになろう」という強い意思を持って、Unityなどの開発ツールを触るようになりました。 もちろん、自分の得意分野は進行管理やチームをまとめ上げることなんですが、そこに加えてプログラマーとしての知識もあれば、例えば後輩がリーダーをやりたいと言った時に、僕はプログラマーとしてサポートに回ることもできますから。
広ユニ ナカオク 広ユニ ナカオク
「自分の役割はこれだ」と決めつけず、どんなボール(役割)でも取ることがチーム制作では大切ですよね。
沼田さん 沼田さん
そう思います。あと今は、学校内のゲームジャムで作った作品を、長期プロジェクトとして継続して開発しています。 ゲームジャムの作品って、どうしても「作って終わり」になりがちじゃないですか。「一回遊んだら十分」というクオリティで止まってしまう。
広ユニ ナカオク 広ユニ ナカオク
「動いた!よかった!終了!」ってなりがちですよね(笑)。
沼田さん 沼田さん
そうなんです(笑)。でも、そこからさらにブラッシュアップして、より良いゲームにしていく経験ができれば、チームメンバーとも長く関われるし、新しい学びもあるんじゃないかと思って挑戦しています。
広ユニ 山根信二 広ユニ 山根信二
それは素晴らしい視点です。 実は最近、投資ファンドがゲームジャムに注目し始めているんですよ。「企画書はいらないから、動くプロトタイプを見せてくれ」と。 ゲームジャムで作ったプロトタイプが面白ければ、そこに投資をして、製品版として完成させるための資金を提供する。そういった「アメリカンドリーム」的な流れも出てきています。
広ユニ ナカオク 広ユニ ナカオク
「試作」で終わらせず、それを「製品」にまで育て上げる力。それを学生のうちから意識されているのは時代の流れなのかもしれませんねぇ。

「遊ぶ人」から「創る人」へ

広ユニ ナカオク 広ユニ ナカオク
最後に、これからゲーム業界を目指す学生さんたちに向けて、伝えたいことを教えてください。現役の学生として、周囲を見ていて感じることはありますか?
沼田さん 沼田さん
そうですね……少し厳しい言い方になるかもしれませんが、「ゲームをプレイする意識」から「ゲームを作る意識」へ、ちゃんと切り替えてほしいなと思います。

すごく厳しい言い方をすると周りの人を見ても、ゲーム制作をしている時間よりも、ゲームを遊んでいる時間の方が圧倒的に長い人が多いんです。もちろん、ゲームが好きで遊ぶこと自体はいいことなんですが、寝る時間を削ってまで遊んでいるのは…ゲームに遊ばれてしまっているのではないかと。
広ユニ ナカオク 広ユニ ナカオク
「消費者」の視点のまま学校に来てしまっている、ということでしょうか。
沼田さん 沼田さん
はい。「本当にゲームを作るためにここに来ているのかな?」と感じてしまうことがあります。 だからこそ、これから目指す人には「ひたすらチャレンジしてほしい」「たくさんゲームを作ってほしい」と伝えたいです。
広ユニ ナカオク 広ユニ ナカオク
山根先生はいかがですか? 昔は「浴びるほどゲームを遊んだ人間が、やがて作り手になる」というような道筋もありましたが。
広ユニ 山根信二 広ユニ 山根信二
ええ、昔はそういう「ゲーマーから作り手へ」という神話のようなものがありました。でも今は、ゲームを極めた先には「プロゲーマー」という道もあるので、必ずしも作り手に回るわけではありません。 最近の世代を見ていて思うのは、「人に何かを伝えたい」「人の心を動かしたい」というパッション(情熱)を持っているかどうかが、決定的な差になるということです。
広ユニ ナカオク 広ユニ ナカオク
単に「ゲームが好き」というだけではなく、「表現したい」という欲求が必要だと。
広ユニ 山根信二 広ユニ 山根信二
そうです。IGDA日本の TGS スカラーシップ でも、実はゲームのスキルそのものより「作文(エッセイ)」を重視しています。「あなたは何をやりたいのか」「何を伝えたいのか」。この想いは学校では教えられませんから。 過去には、経済学部の学生で「ゲーム業界を知りたい」という熱意だけで採用された例もあります。技術は後からついてきますが、この「核」となる想いは、持っているかどうかが全てなんです。
広ユニ ナカオク 広ユニ ナカオク
沼田さんにとっての「恐竜」のように、自分の中に揺るぎない「伝えたいこと」があるか。それが、一つの作品を完成させるエネルギーになるわけですね。
広ユニ 山根信二 広ユニ 山根信二
まさにそうです。 安田女子大学でも教えていますが、私は学生に「ゲームをいっぱい遊べ」とは言いません。「あなたはどういう想いを人に伝えたいか」を大事にしなさいと伝えています。
広ユニ ナカオク 広ユニ ナカオク
今日はとても濃いお話を聞くことができました。 「好きなもの」を原点に持ち、足りない技術は学び、世界を見て視野を広げ、そして「創る人」としての覚悟を持つ。 沼田さんのような若いクリエイターが、これからのゲーム業界に新しい風を巻き起こしてくれることを楽しみにしています。本日はありがとうございました。
沼田さんが作成したゲーム Raptor は 現在Streamで配信中です!
ぜひご購入して、遊んでみてください。

またRaptorですが、この度ゲームクリエイターズギルドが主催するゲームクリエイター甲子園 2025 にて、「U-18&総合大賞のノミネート作品」となりました。おめでとうございます!

また本インタビューにあたってご協力いただきました、沼田さん、山根先生、ヒューマンアカデミー広島校の竹口先生(非常勤)に感謝いたします。
Global Game Jam 2026 Hiroshima

 沼田さんも参加したGGJが今年も広島で開催決定。1月末はみんなでゲーム制作をしよう!